現代は短い言葉で、的確に伝わる文章を書く力、”短文力”が重要です。
そのちょっとしたコツや工夫点、広告業界のライティングスペシャリストがお伝えします。
広告制作に携わる人のみならず、すべての人の”短文力”アップに役立ちますように。
今回は、心に響く企画書を書くためのポイントについてご紹介します。
じつは書く前から始まっている!
心に響く企画書を書くコツ
「とりあえず書く」になっていませんか?
クライアントに企画書を提出しなければならない・・・・・・。
さて何を書いていいのやら、
パソコン画面を前に悩んだ経験、ありませんか。
私たちも仕事柄、企画書を書く機会が多くあります。
企画書からすべてが始まると言っても過言ではありません。
「A4で1枚にスッキリまとめたほうがいい」
「パワーポイントを使ってわかりやすく」
などなど、企画書の作成に関するアドバイスは
インターネット上に溢れています。
でも、そこには重要な点が抜け落ちてしまっています。
クライアントが何に悩んでいて、
何をどう解決してほしいと思っているのか、という視点です。
ひとまず新規のクライアント向けに、
社内研修用の動画制作を提案することになりました。
動画制作のメリットを記した一文を見てみましょう。
「動画を使用することで、研修の質を一定化します。
研修のたびにプログラムを準備する必要がなくなるため、
担当者の負担軽減にもつながります」
いかがでしょう? この一文はクライアントの心に響くでしょうか。
残念ながら、先ほどの重要な視点が抜け落ちてしまっています。
とりあえず書いておこうと思いつくまま言葉を並べても、
なかなか相手の心には届きません。
じつは、企画書は「書く前」がとても重要なのです。
「当たり前」も、具体的に記さないと伝わらない!
この文章について、もう少し具体的に見ていきましょう。
気になるのは次の2点です。
1)「研修の質を一定化」する根拠が示されていない
2)「負担軽減」だけでは訴求力が弱い
まず1)についてです。
「動画を使用することで、研修の質を一定化します」
という一文は、「そうである根拠」を省略してしまっています。
「動画を使用する」のは“手段”であって、
研修の質を一定化させる理由にはなりません。
いやいや、誰に対しても同じ動画を見せるんだから
一定化につながるのは当たり前だろう、と思う人もいるかもしれません。
でもその「当たり前」の部分を具体的に記さなければ、
伝わる文章にはならないのです。
この場合、
「動画を使用することで講師による教え方の違いがなくなり、
研修の質を一定レベルに保つことができます」
と付け加えられるとベターです。
あるいは動画の内容に着目して、
「ポイントを強調した動画を使用することで製品の特長が端的に伝わり、
研修の質の一定化につながります」
などと具体的な一文を入れると、ぐっと伝わりやすくなります。
相手をデートに誘うつもりでリサーチを
次に、2)について見てみましょう。
「研修のたびにプログラムを準備する必要がなくなるため、
担当者の負担軽減にもつながります」
こちらは、メリットとして挙げるには少し弱い印象を持ちます。
「ラクできますよ」と言っているだけですから、
かえってクライアントは気を悪くしてしまうかもしれません。
せっかく動画制作にコストをかけるのです。
もっとポジティブで明確なベネフィットが欲しいと思うのは当然のこと。
まずは、相手のニーズを汲み取ることが重要です。
誰かをデートに誘うときと同じですよね。
辛いものが苦手な人に、本場の四川料理を食べに行こうと誘っても喜ばれません。
ホラー映画が好きだからと言って、相手も好きだとは限りません。
クライアントをデートに誘うつもりでリサーチしてみましょう。
その業界全体の動向を探ってみてもいいかもしれません。
具体的なベネフィットを書こう
リサーチの結果、クライアントは、自社製品の複雑な特徴を
新人営業マンに伝えることに苦慮しているかもしれません。
その場合には、
「御社製品の特徴を階層ごとに分け、ポイントを絞って視覚的に伝えることで
理解促進をサポートします」
などと映像による理解に重点を置くと、
「なるほど、話を聞いてみようか」と思ってもらいやすくなります。
あるいは各支店の商談の進め方にバラツキがあり、
さらに全員に同じタイミングで研修を行うのが難しいという
問題を抱えているかもしれません。
その場合には、
「効果的なセオリーを織り込みつつ、実際の商談シーンを再現します。
オンライン研修にすることで、社員の皆様に同じタイミングで
受講していただくことができます」
と、映像と配信のメリットを伝えてみるのも一法です。
具体的なベネフィットが感じられること。
これが相手の心に響く企画書の前提条件です。
それには事前リサーチを綿密に行うことが一番の近道。
そう、企画書作成は、書き出す前から始まっているのです!
クリエイティブにおけるキャッチコピーや文章は、的確かつ読ませる工夫が不可欠。
「これでちゃんと伝わる・・・?」と、お悩みを抱えている方も多いと思います。
そんなときはぜひ一度、弊社までお気軽にお問い合わせください。
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株式会社メッセ(東京都中央区京橋)
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